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開発者インタビュー第1回 ずんだもんキャッチボールロボ(前編)

January 18, 2025

    ずんだもんは友達。きょうはキャッチボールで遊ぶんだ!そう言って小学生は手にしたゴムボールを目の前のスクリーンめがけて投げてみせた───未来の子供たちの遊び相手は人間ではなくAIバーチャルキャラクターだったのだ!

    そんな未来の遊びをかたちにしたBeaver’s Hiveロボット開発チームに直撃取材するシリーズ第1回。

    図1 ボールを投げるずんだもん(リンク先動画1より)

    動画: 前方のスクリーンに映し出されたCGキャラクター(ずんだもん)がボールを投げた次の瞬間、本物のゴムボールがプレイヤーに向かって飛んでくる。プレイヤーはグローブでキャッチ。すかさずスクリーンのずんだもんめがけて投げ返す。ボールはCGの世界に入り込み、ずんだもんがみごとにキャッチしてみせる。

    図2 キャッチボールロボの外観(リンク先動画2より)

    筆者: この動画は何のコンテストに出たときのものですか?

    メカ担当: これはTechSeeker Hackathon(テックシーカーハッカソン)2024というモノづくりの大会です。

    筆者: ハッカソンというのは?

    メカ担当: ハッカソンというのは(与えられたテーマに則したアイデアやモノを)短期間で開発するのがほとんどなんですけど、これはひと月ぐらい与えられましてモノを完成させてから提出するという特色のあるハッカソンに出たときのものです。

    筆者: どんなテーマが与えられたんですか?

    メカ担当: 初めに集まったときにテーマが発表されるんですけど、「子どもの生活をハックしよう」というテーマで未来の子供の遊びを考えました。

    筆者: つまり未来の遊びをかたちにしたんだ!それはおもしろそう!

    メカ担当: そうですね。うちのチームは、少子化が進んだり、在宅勤務や授業などのリモートが当たり前になったりというところに目をつけて、機械とキャッチボールできるというところもそうなんですけど、遠隔の誰かとキャッチボールできるという思いを込めて、映像を介してキャッチボールできるロボットを作って提出しました。

    筆者: あぁなるほど。日本の総人口が少なくなって、核家族化も進んでいて、親戚もいない、遊べる友だちもいない、遊ぶ場もない、休みの日も親が忙しくていっしよにキャッチボールもできない、そんな近未来の子供たちにはこれが必要だ!

    筆者: ところでそれは後付けの理由ではなくて本当にそこから発想していったの?

    メカ担当: うーん、よく覚えてないですけどアイデアはいくつか持って行きました。

    筆者: この動画だとコンピュータ(CGキャラクター)対人間のキャッチボールに見えるのですが、実は相手も人間のプレイヤーでCGキャラクターを動かしていたりするのですか?

    メカ担当: システムがどうなっているかはメカ担当なのでわからないです。

    筆者: 観ていくとプレイしている動画があって…(動画を見ながら)

    図3 グローブを構えたプレイヤー(リンク先動画2より)

    メカ担当: まず人間(プレイヤー)がゴムボールを持っている状態から始まるんですけど、スクリーンの中のキャラクターに向けてゴムボールを投げてもらう、そしたらスクリーンの当たった場所に対してキャラクターがそれに応じた動きをするんです。

    筆者: はい。

    メカ担当: 左に当たったら左に取りに行くというような動きをします。

    筆者: スクリーンの中に描かれる仮想のボールはゴムボールが当たった位置から出現して、スクリーンの中のキャラクターが仮想のボールをキャッチするんですね。

    メカ担当: そうです。それでプレイヤーがグローブを構えた場所に対してずんだもんのキャラクターが反応します。近いとか遠いとか。

    筆者: キャラクターもリアクションするんだ!

    メカ担当: 次にキャラクターが投げ返すモーションをするんですけど、その間にスクリーンに当たって落ちたゴムボールはこの手前にあるスロープをすり抜けて、真ん中に集められるんですね。

    筆者: はい。

    メカ担当: スロープの下に赤いバケットが待っているんですけど、そこにゴムボールが落ちます。

    筆者: 中央下の赤いところに出てきたのがゴムボールですね。

    メカ担当: はい。続けてビーバー君がバケットを運んでくれます。

    筆者: あ、ビーバー君がゴムボールを右端に運んでますね。

    メカ担当: 右端に2軸のピッチャーロボが居まして、ビーバー君が運んでくれたゴムボールを受け取って、プレイヤーのグローブに向けて投げてくれます。これが一連の流れです。

    筆者: これ、ちゃんとグローブを構えている位置を狙って制御してゴムボールが飛んでくるんですか?

    メカ担当: そうです。

    筆者: どういう仕組みなんですか?

    メカ担当: 技術的な話をすると、まずプロジェクターで正面のスクリーンに映像を投影していて、そのスクリーンがちょっと斜めになっているんです。スクリーンとその手前のスロープとの間にLiDAR(Light Detection And Ranging、ライダー)が付いていて、スクリーンの表面をLiDARでスキャンしてゴムボールを探しています。

    筆者: そういう仕掛けなんだ。

    メカ担当: ゴムボールが当たった位置に応じてCGキャラクターをスクリーンに表示しています。

    筆者: なるほど。

    メカ担当: ビーバー君が動くところは共立電子に売ってたUFOキャッチャー用直動機構を使いました。

    図4 ビーバー君を動かす直動機構(リンク先動画2より)

    筆者: これはUFOキャッチャーの天井に付いてるクレーンを前後左右に動かす部品だ。

    メカ担当: というのもこのハッカソンは共立電子さんもスポンサーで参加者に1人5,000円分の商品券(共立およびデジットでの利用に限定)がもらえるんです。

    筆者: それは使わない手はない!(笑)

    メカ担当: その直動機構を使い、ビーバー君を動かしてます。

    筆者: ところでビーバー君が運ぶというのはこの直動機構からの発想ですか?

    メカ担当: はい。直動機構がなかったらビーバー君は居なかったです。これのためだけにビーバー君ボール運搬機構を作りました。

    筆者: それはもっと評価してもらってもよい部分ですね!(笑)

    後編につづく。



    次回は、ずんだもんのキャラクター表示の秘密に迫ります。乞うご期待!!

    リンク(動画)

    [1] Beaver’s Hive、キャッチボールロボ ずんだもんリアクション、https://youtu.be/oFt-h_gdwEY

    [2] Beaver’s Hive、Catch Ball ROBO with Beaver、https://youtu.be/_DhyfEr24Eg